がんの放射線治療…最新装置「イーソスセラピー」の実力
ただ、がんによっては、位置だけでなく、臓器が大きく変動するものもある。例えば膀胱がんでは、尿量によって1~1.5センチほど変動することは珍しくない。すると照射範囲の中心軸を変えるだけでは対応しきれない。そこで即時適応放射線治療だ。
■これまでの装置とどう違う?
「即時適応放射線治療では、がんの位置の変動だけでなく、形状の変動にも対応できます。AIを用いた専用の装置によってその日の臓器の位置関係や状態に合わせて照射範囲を調整し、即時に適応させた放射線治療を行えます」
もちろん、前述のようにIGRTでもがんの変動には対応できる。
「ただ、従来のIGRTでのCT画像は不鮮明なこともあり、ピンポイントとはいえ、本来のがんの大きさ、形状よりも数ミリの余裕を持たせて照射範囲を計算しています。一方、即時適応放射線治療ではもっとがんの形状に合わせ、よりピンポイントに照射できる」
膀胱がんに対する即時適応放射線治療の有効性を示した研究では、病変を狭く照射でき、周囲の臓器の線量も低減するとの結果が出たと報告されている。