プロスキージャンパー竹内択さん難病との闘い 葛西紀明さんの言葉がなかったら…

公開日: 更新日:

竹内択さん(プロスキージャンパー/37歳)=チャーグ・ストラウス症候群

 チャーグ・ストラウス症候群は「好酸球性多発血管炎性肉芽腫症」ともいって、本来、体を守ってくれる白血球の一種である好酸球が全身の血管を攻撃する病気です。どこがどのくらい攻撃されるかは人によっていろいろで、自分の場合は「肺」で発症しました。

 明らかに症状が出たのは、2013年の秋からです。喉がイガイガして、走るとヒューヒュー音が鳴る喘息のような症状が続きました。その前からずっと、においが分からない状態でもあったんですけど、受診するほど気にしていませんでした。

 ジャンプの世界では毎年、年末年始にドイツとオーストリアで1週間に4試合する「ジャンプ週間」という伝統ある大きな大会がありまして、それに出場したところ、その最中に40度近い熱が出てしまいました。仕方なく最後の4戦目を欠場したのですが、その後にワールドカップが予定されていたので、そのままヨーロッパにとどまって熱が下がるのを待つつもりでいました。

 そのとき、コーチやチームメートの葛西紀明さんが「日本に帰って検査した方がいい」と言ってくれたのが、早期に病気が見つかった要因です。あの葛西さんの言葉がなかったら、そのままワールドカップに出て、きっともっと重症化していたと思います。

 治療の最初はステロイドの大量投与で急激に炎症を抑えて、様子を見ながら徐々にステロイドの量を減らしていくパルス療法で、そのために1カ月間入院しました。本来はもっと時間をかける治療らしいのですが、その冬の2月にソチ五輪があったので、先生にだいぶ無理を言いました。

 自分は1998年の長野五輪のジャンプ団体戦を見てカッコイイと思ってジャンプを始めたので、五輪への思いは人一倍でした。病室にエアロバイクを持ち込んで、治療とトレーニングの同時進行で無理やり間に合わせたのです。

 退院後も、運動するとすぐに息が上がって、膝に手をついて背中で息をするような状態でした。それでも、なんとか出場して団体でメダルを獲得できました。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    相撲協会の逆鱗に触れた白鵬のメディア工作…イジメ黙認と隠蔽、変わらぬ傲慢ぶりの波紋と今後

  2. 2

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    《2025年に日本を出ます》…團十郎&占い師「突然ですが占ってもいいですか?」で"意味深トーク"の後味の悪さ

  5. 5

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  1. 6

    中居正広の女性トラブルで元女優・若林志穂さん怒り再燃!大物ミュージシャン「N」に向けられる《私は一歩も引きません》宣言

  2. 7

    結局《何をやってもキムタク》が功を奏した? 中居正広の騒動で最後に笑いそうな木村拓哉と工藤静香

  3. 8

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 9

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 10

    高校サッカーV前橋育英からJ入りゼロのなぜ? 英プレミアの三笘薫が優良モデルケース