成長期にローファーを履くと足病のリスクを高めるのはなぜか
以前、母親に連れられて当センターを受診されたのは、中学生の男子生徒でした。母親がこう話します。
「足の親指が真っ赤に腫れていてズキズキと痛むようなのですが、部活を休めないからと、ずっと痛みを我慢していたそうです。最近ではローファーを履いて通学するのもやっとな様子で……」
足の状態を見ると、親指の巻き爪がさらに悪化して爪の端が皮膚に食い込む「陥入爪」を起こしていました。そこから細菌に感染し、ひどい痛みや腫れが生じていたのです。
本来、爪は内側に丸まりやすい性質で、立っているときに地面から圧力がかかって丸まるのを防いでいます。ローファーは先が細い上に、紐で足の甲を十分に固定できないため、しっかりと踏み返し動作が行えません。一日中履き続ける生活で足指にかかる圧が不足して爪が変形してしまったのです。
また、爪のすぐ下層には末節骨があり、爪が食い込んだ部分から細菌に感染して骨髄炎を起こすと、最悪のケースでは足の切断を余儀なくされる恐れがあります。早めの対策が肝心です。
次回は、足病から足を守る小児靴の選び方と、正しい靴の履き方についてお伝えします。