「ドアマン募集」という名の警備員の求人 面接官は「挨拶ができればいい」と繰り返した
仕事は午前11時から午後9時まで。日当は1万円。途中1時間の食事休憩と夕方に30分の休憩が取れる。何か質問がありますかと聞かれたので、念のため、
「私は大卒ですが、大卒は不利でしょうか?」
すると内田氏は「愚問だよ」というような表情で、
「あのですね。大学を出ていようと知性があろうとなかろうと、挨拶ができればいいんです」
短い時間だったが、内田氏は「挨拶できる人」という言葉を4、5回使った。彼の話を聞いていると、右も左もマナーを身につけていない人物だらけという錯覚を覚えてしまう。
「では採用の場合は明日連絡します。夕方電話しても大丈夫ですか?」
内田氏の言葉には「あなたを採用で決まり」という好感触がにじんでいる。思ったとおりだった。翌日の午後5時、「採用」の連絡をもらい、研修を受けることになった。ところが、この研修が軍隊式のため戸惑ってしまったのだった。 =つづく
(林山翔平)