経済学者は「エコノミーの不倫相手」を空席だったビジネスの隣席に呼び寄せた
恋カラの「合コン1000回」は誤解
合コンのお誘いも多くなりました。
「恋から」では「合コン1000回」など派手なイメージにされてしまいましたが、あくまでネタですから誤解しないでくださいね(苦笑)。
さて──。先頃、JAL(日本航空)とANA(全日空)が「カスタマーハラスメント(カスハラ)」を9項目に分類して、その対処方針を共同でまとめました。
たとえば「バカ野郎などの暴言」「容姿を揶揄する発言」「体を押したり、飲み物をかけたりする」「同じクレームを繰り返す」「わいせつな行為や発言」「盗撮」「つきまとい」などのカスハラには、警察への通報も含めて厳しい態度で臨むというものです。
現場(機上・地上)で働く者にとっては、凄く良いことだと思います。大多数のお客さまは礼儀正しい方たちなのですが、残念ながらカスハラは存在します。メンタルにダメージを負ってしまうCAやグラウンドスタッフも少なくありません。
私はもともとメンタルがタフなのか、少々のことでは驚かず、お客さまからの理不尽と思える要求やクレーム、あと「おい! てめぇ!」といった言葉にも笑顔で対応できます。ただ、そういったことがあった日は、ちょっぴりお酒の量は増えますけど(苦笑)。
JALとANA合わせて1年間に600件のカスハラがあったと報告されているそうですが、改めて驚かされます。そこで実際にCAはどんなカスハラに遭遇しているのかを、3回連載の中でご紹介したいと思います。
ファーストクラスやビジネスクラスを担当していると政治家、スポーツ選手、俳優など著名なお客さまと多く接します。
皆さん、本当にお優しい方たちなのですが……中には「困っちゃうな」という方もいらっしゃいます。多いのは「アップグレード」の要求です。
CMに出演、ドラマでもお見かけする中堅クラスの女優さんが「私のことご存じかしら? こんなに混雑しているんだからアップグレードしてくださらない?」とリクエストされました。
お手元を見るとチケットはエコノミークラスです。ビジネスクラスも満席です。無理なものは無理なので丁重にお断りすると到着地に着くまで無視されてしまいました。
JALとANAの共同対処方針では「アップグレードなどの要求」もカスハラになるようです。
知り合いのCAが遭遇したカスハラです。
グルメリポーターとしても知られる男性は、エコノミークラスを利用されていました。最初から「あれ持ってこい! これ持ってこい!」と横柄な態度だったとか。
もちろんCAがお客さまのご要望にお応えするのは当たり前。担当CAは笑顔で接していたのですが、もともと地声がそうなのか、あまりにも声が大きくて周囲のお客さまにご迷惑がかかったそうです。そのためリポーターさまにやんわりご注意すると、それにもキレられたと聞いています。
テレビにもよく出演され、コメンテーターとして活躍されていた男性経済学者の方は、ビジネスクラスにお座りでした。
するとエコノミークラスから若い女性のお連れさまをお呼びになり、空席だった隣席に勝手に座らせてしまったのです。「姪なんだ」とおっしゃっていましたが、明らかに不倫相手という感じ。「申し訳ございませんが……」と頭を下げてお断りしたら、今度はビジネスクラスの食べ物やお飲み物を「姪」の方に持っていってしまうのです。
これもお断りしたのですが「私の食べ物をどうしようが勝手だろ!」とお怒りで大変でした。
■前席の肘掛けに足を乗せた女性モデル
こんなエピソードも聞きました。海外でもご活躍の女性モデルは、ビジネスクラスをご利用されていたのですが、背もたれを倒し、投げ出した足先を前席の肘掛けに乗せていたそうです。
前席の方はお知り合いだったようですが、足を前席まで伸ばすなんて……お行儀の悪いお客さまは意外に多くてトラブルのもとになります。
皆さまもご注意くださいね。
次回はCAのカスハラ対処法をお話しします。