京都名門企業の象徴「オムロン」苦境…純利益予想98%減、中国依存が徒に
その立石家からオムロンを託された辻永氏は、1966年生まれで、京都産業大学理学部を1989年に卒業し、オムロンに入社。インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー商品事業本部長やインダストリアルオートメーションビジネスカンパニー社長を経て、2023年4月に社長兼CEOに就任した。
辻永社長は今回の大幅な業績低下について、「価格変動の高いデジタル、環境モビリティー業界に加え、中国市場の投資需要に依存している」ことが主因であると指摘した。
実は、オムロンの収益構造は、いまや工場のラインで使われるロボットやセンサーなどの制御機器事業が全体の8割超を占める。体温計や血圧計などヘルスケア関連の収益は2割にも満たない。かつ、「オムロンの制御機器は、同業のキーエンスなどに比べ大口顧客の依存度が高く、かつ中国の需要に左右されやすい」(市場関係者)という。とくに今年度は中国の景気減速から、大口顧客による設備投資の延期や縮小が相次いだことが響いた。
オムロンが2月26日に発表した構造改革方針では、事業ポートフォリオの再構築を図るとともに、国内外で計2000人規模の人員削減を行い、固定費約300億円を圧縮するとした。
辻永氏は、中核の制御機器畑出身だけに、どこまで身を切る改革ができるか。創業家から託されたバトンは重い。