54歳で死去 T・グウィンが約束していた「巨人入り」
16日(日本時間17日)、唾液腺がんで54歳の若さで亡くなった元パドレスのトニー・グウィン。首位打者8回、3141安打のヒットメーカーは、実は巨人入りの可能性があった。当時(1982年のシーズンオフ)を思い出してこう語るのは岩本尭氏(当時巨人渉外担当)だ。
「中南米のウインターリーグの視察に行き、広角に打ち分けるグウィンに目をつけた。パドレスの代表に譲ってくれと頼んだら、ダメだと断られた。それでもしつこくお願いしたら、本人と話してみろ、ということになった。それで日本に来ないかと誘うと、来年1年待ってくれ、来年はメジャーに昇格、定着する。それがダメだったらトウキョウ・ジャイアンツに行くとのことだった」
グウィンはその年、メジャーに初めて上がったが出場試合は54。メジャーとマイナーを往復していた。巨人はホワイト、トマソンの両外国人打者を切り、助っ人を探していた。
岩本氏は帰りがけにメキシコのウインターリーグに寄り、クルーズを獲得した。1年後、グウィンを取るつもりだったので1年契約だった。
ところがグウィンは翌83年、86試合で打率.309を打ちメジャーに定着。翌84年には打率.351で首位打者に。巨人の手の届かない選手になった。
83年オフ、グウィンを断念、契約切れのクルーズの代わりに獲得したのがクロマティだった。