理事長も場所前に苦言…白鵬にいま求められる「横綱の責務」
「あれで千代の富士の記録に並ばれたら、たまりませんね」
懸賞金の束を掴んで悠々と花道を去る横綱白鵬(29)の姿に、角界OBが思わず漏らした。
高安を寄り切り、難なく4連勝。優勝ならば九重親方(元横綱千代の富士)の持つ歴代2位の優勝31回に並ぶ。しかし、それを喜ぶのは角界でもごくわずか。優勝を重ねても、白鵬は肝心の「横綱の義務」を果たしていないからだ。
それが顕著だったのが、今場所前の稽古総見。白鵬は新小結の常幸龍と8番しか行わず、北の湖理事長(元横綱)から、「同じ相手とばかりやって……。数も少ないし、あれではウオーミングアップ。若い力士に稽古をつけないと」と、苦言を呈された。冒頭のOBが言う。
「若手への指導をしてこそ横綱の稽古というもの。にもかかわらず、白鵬は秋場所で初顔合わせになる常幸龍対策と、自分のことしか頭になかった。当日は理事長も若手力士に『行け!』と白鵬への申し合わせを促していたが、横綱審議委員や協会幹部が間近で見守る稽古総見は一種独特の雰囲気。若手は雰囲気にのまれて動きにくい。だからこそ、横綱は『次は誰々!』と指名して、積極的に胸を出すべきなんです」