若手守護神に“勤続疲労”続出 負の連鎖はなぜ起きたのか?
■根強い先発志向で若手に白羽の矢
長嶋監督時代の巨人で「勝利の方程式」の一翼を担った評論家の橋本清氏が言う。
「佐々木さんや岩瀬らは別格として、選手にはまだ先発志向が強く、抑えは心身の負担が大きい割に年俸などで報われないというイメージがある。進んでリリーフをやりたいという投手はそう多くなく、実際にオフの年俸更改のたびに球団に先発転向を直訴する選手を何人も知っています。それで、若手から適性のあるものを探そうということになる。キャンプ、オープン戦序盤では球威と勢いに勝る若手が首脳陣の目に留まりやすいということもある。1、2年目の投手なら、首脳陣から『今日もいけるか?』と言われれば、多少疲れが残っていても『いけます』と言う。起用する方からすれば若手の方が使いやすいということもあるでしょう」
その結果、待っているのが酷使である。ヤクルト時代に先発、中継ぎでフル回転した評論家のギャオス内藤氏が言う。
「若い投手にとってプロのマウンドは最初は緊張しても、結果が出てくれば楽しくて仕方なくなってくる。疲れを忘れ、先のことも考えずに投げる。長いシーズンの経験が少ない分、身体に違和感が出たとき、痛みなのか疲れなのかがわからないこともある。見極めが難しいから、そこで無理をしてしまうのかもしれません」