コリジョンルール「野球つまらなくする」と元プロ捕手指摘
ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜でマスクをかぶっていた野口寿浩氏(評論家)は、「ルールの導入目的が、ケガを防ぐというためだけなら現状のままでいいでしょう。でも、野球という競技が変わる。はっきり言えばつまらなくなります」と言って、さらにこう続ける。
「このルールは、11年にSFジャイアンツのスター選手だったバスター・ポージー捕手が、危険なタックルで選手生命が危うくなるほどの大ケガを負ったことがきっかけでメジャーリーグに導入されたものです。本来なら、上半身から捕手にぶつかっていくタックルやスパイクの歯を向けるスライディングなどの危険な行為だけを排除すればいいのです。危険な行為を行った選手には、例えば1年間の出場停止などの重いペナルティーを科すと決めれば抑止力になる。それが、普通のスライディングとブロックプレーまで禁止するのはおかしい」
野口氏は、コリジョンルールとケガの防止との関係についてもこんな考えを持っている。
「中日の谷繁監督は現役時代ブロックがうまかったから、自分もスライディングしてくる走者も一度もケガをしたことはない。悪意のない普通のブロックに対し、普通のスライディングをすればケガはしません。これまで捕手は長い間ブロックを教えられているので、本能的に体が反応してしまう。オープン戦でこのルールが適用されたヤクルトの中村捕手も、最初はホームベースを空けていたが、返球に合わせるように自然と体が走路の方に寄っていき、最後は右膝を折ってブロックの体勢になった。点をやりたくないという気持ちから瞬時に右足でブロックしたという。このような場面で相手チームに1点が入るケースは公式戦でもあるでしょう。コリジョンルールは明らかに走者が有利。納得のいかない捕手は多いと思います」
コリジョンルールは再考の余地がありそうだ。