中日1位・柳裕也 母が明かした孝行息子との“二人三脚”
中日に1位指名された柳裕也(投手・22歳・明大)は、12歳にして父の葬儀の喪主を務めた。
当時、小学6年生。母の薫さん(46)は喪主を息子に頼んだのかどうか覚えていない。ただ葬儀の前夜、柳が一人、手紙を書いていた姿は今も目に焼きついている。
「プロ野球選手になって、お母さんと(2歳下の妹)幸奈を守ります。だから安心してください」
柳は翌日、涙を見せることなく手紙を読みあげた。
宮崎県都城市内で運送業を営んでいた父・博美さんが仕事中の事故で亡くなった2006年8月のことだった。
「男はどんなにつらくても泣いちゃ駄目だ」
博美さんは生前、柳にこう伝えていた。薫さんは「父への思いが深かったから、手紙にしたためて言葉にしようと思ったのかもしれません」と言う。
博美さんは休日、幸奈さんを連れて、柳の練習や試合に付き添った。185センチの父は野球経験はなかったが、教本を買い与え、木材を自ら加工してバットを作った。キャッチボールの相手もした。柳の小学6年時には所属していた「志比田スポーツ少年団」の会長を務め、チームはその夏、学童の全国大会である「マクドナルド杯」に出場。その年は茨城県水戸市で開催された。事故が起きたのは水戸から帰宅してわずか数日後。前日はチームの役員同士で反省会を開いていた。