プロ球団だけじゃない 大学も注目した高校野球合同練習会
試験時間が終わり、答案用紙を提出する段になってそのスラッガーは「どうせ0点なんだから提出してもしょうがないだろう」と思い、答案用紙を持ったまま教室を出ると、廊下にあったゴミ箱に丸めて捨ててしまったのである。
慌てたのは野球部関係者だ。大学当局に話をつけているとはいえ、答案用紙がなければ受験したことにならない。いくらなんでも受験していない学生を合格、入学させることはできない。必死でそのスラッガーを探し出すと、試験会場近くのゴミ箱を見つけ出した。そしてクシャクシャになった答案用紙のしわをのばし、受験本部に持っていった。そうして何とかそのスラッガーは無事、入学ができたという。
ちなみにその選手、大学ではそれなりに活躍したが、プロ球団に誘われるほどではなかった。
▽富岡二郎 スポーツジャーナリスト。1949年生まれ。東京都出身。雑誌記者を経て新聞社でスポーツ、特にプロ野球を担当。