著者のコラム一覧
山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

阪神・矢野監督の「藤浪続投」の判断に感じる昭和的危うさ

公開日: 更新日:

 しかし、そういう休養戦略のために、あの日の藤浪を続投させるという矢野監督の判断には疑問が残る。しかも首位攻防となる甲子園での阪神巨人戦である。そんな注目度の高い試合を序盤でぶち壊した張本人として、藤浪は衆人環視の中でさらし者になったようなものだ。おかげでリリーフ陣は休めたが、そのぶん藤浪は今後に残る深刻なダメージを負った可能性もある。リリーフ陣の短期的休養と、まだ26歳の投手が負う長期的ダメージ。矢野監督は前者を優先したのだろうか。

 これについて、阪神OBの新井貴浩氏はスポニチアネックスで「藤浪だから続投させたのではないか」「期待の裏返しだと感じてほしい」といった見解を発表した。そういえば以前の金本知憲監督時代にも、炎上した藤浪が懲罰的かつ教育的な意味合いの続投を命じられたことがあった。

 矢野、金本、新井。この3人を並べると、なんとなく昭和の体育会的な熱い熱い世界が見えてくる。しかし、今の藤浪にこの手の精神論は危険なのではないか。藤浪はあきらかに自信を失っている。ベンチで涙を流したと報じられるほど苦しんでいる。そんな状態の人間をさらに心理的に追い込むことに教育としての発奮効果があるとは思えない。下手をしたら藤浪を完全に潰してしまう。

 それにしても藤浪は本当に深刻だ。これによって次回登板の注目度がさらに高まり、衆人の良くも悪くも好奇の視線がますます向けられることだろう。先述の昭和理論なら、そういう厳しい局面を乗り越えてこそ成長ということだろうが、果たしてそうなのか。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…