バド桃田賢斗は「ザ・ストイック」自粛期間でさらなる進化
桃田は長期戦を避けるためにも、東京五輪が延期されて得たこの期間で、スマッシュの強化に取り組んでいた。
「昨年末の日本選手権でも成果が表れていました。ウエートトレーニングに力を入れたおかげで、シャトルのスピードは変わらなくても、『キレ』が上がった。さらに、コンパクトなフォームで従来と同じような球も打てるようになりました。相手からすると、野球でいう『球の出どころが分かりにくい』といいますか、返球しにくくなったり、球の体感速度を上げさせる効果を得たのです」(楊氏)
■裏カジノ事件から5年を経てシンボルアスリートに
桃田といえば、リオ五輪目前の2016年4月、国内の違法カジノへの出入りが発覚。代表入りどころかメダルも期待されていたが、世界ランキング(当時2位)の抹消、強化指定から除外された上に、無期限の出場停止処分を科された。約1年の謹慎が明けた当初は、ランキングのために国際大会への自費出場を繰り返した。
全てを失ったあの日から5年。結果と信頼を積み重ね、ついには4月14日、陸上のサニブラウン(22)と共に日本オリンピック委員会からシンボルアスリートに認定されるまでになった。
一度は表舞台から姿を消し“どん底”を経験した男は、東京五輪で国民の英雄になれるだろうか――。