酷暑の東京五輪を「温暖な気候」にした“真犯人”…体感情報を伝えられるのは競技経験者だけ
84年ロサンゼルスのマラソンがそうだった。日本は瀬古利彦、宗兄弟というベストメンバーで臨み、最高は宗猛の4位に終わった。夏のマラソンを知らなかったことが敗因で、モスクワ大会を経験していれば準備は違っただろう。宗猛はロスの経験を生かし、91年世界陸上の谷口浩美、バルセロナの森下広一の金銀メダルに結びつけて旭化成1強時代を築いた。
真夏の日本に外国人観光客は来ない。「おもてなし」など初めからできない相談なのに、東京は「温暖な気候」と言って招致した。嘘をついたとも言い切れないのは、招致委員会と運営する組織委員会は別ものだからだ。夏の暑さは知っていても競技の分からない人たちが招致した。体感情報を伝えられるのは、競技経験者しかいない。組織委員会会長の橋本聖子、JOC会長の山下泰裕、専務理事の福井烈は日本を代表する元選手で、アスリート委員会の委員長は金メダリストの高橋尚子……彼らは酷暑下のマラソンに何を進言してくれたのか。経験が生きていない、これが今回のオリンピックの根本問題だ。
舞台を札幌に移したマラソンが始まろうとしている。旭川の友人から暑くてゴルフもできないとメールが届き、過酷な条件になる。