阪神の負け方には悔いが残る 今季を象徴する戦いをして散ってほしかった
■同じ負けでも気持ちよく…
確かにペナントレース終盤は佐藤を筆頭にサンズも不振だった。大山も調子がいいときが長く続かないまま、21本塁打と微妙な感じでフィニッシュした。だけど、ペナントレースが終わり、いったんリセットしてポストシーズンマッチに挑むなら、個人的には大山、佐藤、マルテ、サンズの20発カルテットの並びはスタメンで見たかった。その4人に、トップバッター・近本光司と盗塁王ルーキー・中野拓夢の俊足コンビも加えた今季の阪神を象徴する布陣で堂々と巨人投手陣に立ち向かってもらいたかった。
それでも打線が沈黙したのなら、それはもう完全な力負けだし、納得の敗戦である。決して、そうしたら勝てていたのではないかと言いたいわけではない。同じ負けでも、清々しく気持ちのいい負け方というものがある。
今季の阪神はCSをペナントレースの延長戦として捉えていたように見える。確かにヤクルトとの優勝争い最終盤において、一時は引き離されかけた阪神が驚異的な粘りを見せた最大の要因は故障離脱した近本に代わって1番に入った島田海吏や、伏兵・糸原健斗の渋い働きであり、ガラスの左腕・高橋遥人の復帰であり、つまり前半戦の立役者以外のところにあった。だから、そのときの手応えが強い残像となって、CS初戦では大山と佐藤を外した小兵戦略になったのではないか。