マラソン嫌いの新谷仁美が狙う「4つの日本記録」はそんなにすごいのか?
■大嫌いなマラソン継続のモチベーション
元日本陸連強化委員長の澤木啓祐氏が言う。
「あれだけの素材、フォーム、1万メートルの記録からすれば、5000メートルを14分40秒台で走れないのは不思議です。マラソンもハーフの記録をもとにした持久係数方式の予測では、2時間18分台が狙える。問題はメンタル。25歳で引退し、4年後に復帰して今に至るが、マラソンをやめるといって、すぐに続けますというように、心の揺れが大きい。昨年の五輪(21位)も気持ちの弱さが出た。マラソンは精神力が問われる種目です。メンタルを強化して努力すれば5000メートルはもちろん、マラソンの記録更新も可能です。年齢については一度引退し、“リフレッシュ休暇”を取っている。競技年齢は実年齢よりかなり若いです」
それにしても、トラックの5000メートルと1万メートル、ロードのハーフとフルマラソンの4種目はスピードも距離も異なる。“4冠”は偉業なのか。
「5000メートルと1万メートルはトレーニング内容が似ている。約42キロを走るマラソンは、酸素を消費して筋肉を動かすためのエネルギーをつくり出す有酸素運動です。スピードが求められる5000メートルとは練習内容が違う。5000メートルも有酸素系ではあるが、トップ選手は無酸素の練習も必要。ただし、国内女子の5000メートルは世界的にはレベルが低い。マラソンのトレーニング内容を大きく変えなくても日本記録なら狙える。かつて増田明美はハーフマラソンを除く3種目の日本記録を持っていたが、国内女子で4種目の記録を出した者はいない。実現すればスーパーウーマンです」(前出の澤木氏)