<63>ヘルニア手術で主治医の「復帰した例ない」のひと言に私が返した言葉
その影響で体調を戻すのに時間がかかった。のちに出会った内視鏡の専門医に手術の話をしたら、「あ~、切らない方がよかったね」とあっさり言われたものの、後悔はなかった。
■田舎育ちの体幹
振り返れば、脇目も振らずに走り続けてきたスケート人生。田舎育ちのおかげで野生の勘はピカイチで、野山を駆け回って自然と鍛えられた体幹のおかげでケガとは無縁だった。
学生時代に「あっ、やっちゃったかな。よっしゃ、これで練習を休める」と思ったのに、翌日には痛みがどこかへ消えてなくなっている。そんなことが日常茶飯事だったから、日帰りで済んだかもしれない内視鏡手術より、正直、入院してでもゆっくりしたかった(笑)。メスを入れたおかげで、1カ月たっぷりと“休養”ができるのだから、悪くはないと思った。
でも、ヒマを持て余したうえ、見る見るうちに太ってしまった体が気になり、外出許可が出てからも、結局は病院横のジムに通うのが日課に。2年後のソルトレークシティー五輪を目指し、長期的スパンで組んだスケジュールに沿って、リハビリも真面目にやった。おかげで、手術後もソルトレークシティーをはじめ、3度のオリンピックに出場できた。
結構、真面目なのだ。