この本が書くあなたへの罵倒を乗り越えられるか
そこには「田舎に何か恨みでもあるのか、団塊の世代(特に男性)に恨みがあるのか、読んでいて辟易しました。もうこの人の本は読みません!」など、感情的な表現が並ぶ。
この本は、徹底的に田舎の悪口を書いてはいるものの、根底にあるのは「あなた自身は成熟した大人か?」を引退間近のサラリーマンに説く姿勢である。
〈脳の二割ほどしか働かせることなく、そのぶよぶよの肉体と同様、精神もまた鍛えられることなく、世間の尺度に照らし合わせてみるとまずまず無難な、むしろ怠惰な歳月をやり過ごしただけというのが偽らざる答えなのではないでしょうか〉
最初の方からいきなりアクセルが入り、読者を未熟で夢見がちなバカ者扱いし続ける本書は、25ページほど読んだところで、読み続けるかやめるかの判断を迫られる。本書の姿勢は徹底した否定である。
本当は田舎暮らし・移住を後押しして欲しいと思って読んだにもかかわらず、自分の人生すべてが否定され、無能扱いされた。そう考える人にとってはもはや耐え切れないのだが、この本を平然と読み終えるぐらいでなくては田舎暮らしなど夢のまた夢であることを教えてくれる。