「簡単ルールで 突然、美文字が書ける」萩原季実子著
紙に手書きの文字を書く機会は少なくなった。そのせいか、いざ一筆箋などにお礼などを書こうとすると自分の字の下手さに愕然(がくぜん)とする。とはいえ、いまさら字を習うのも時間がかかりそうでちゅうちょしていた。しかし、本書の美文字ルールを知れば、タイトルの通り“突然”うまい字が書けるようになるという。半信半疑ながらさっそくやってみた。
書き方以前のルールとして、紙の位置は利き腕の延長線上に置くのが正しいということを初めて知った。これまで紙は体の正面に置いていたが、書いているうちに手で字が隠れて姿勢が崩れ、字がななめになりやすいそうだ。本書の通り、右利きなので体の正面からやや右寄りに紙を置いて文章を書いてみたら、なるほど真っすぐに書けて姿勢も崩れなかった。
さて、いよいよ字の練習に入る。まずは大人っぽく美しいひらがなの書き方だ。例えば、「け」「は」「ほ」など縦2本線グループのひらがなは、「縦線を平行に書く」だけで美文字になるという。確かに自分の字を見てみると、1本は真っすぐ、もう1本は斜めに傾いて転びそうになっている。そこで平行を意識して「け」を書いてみたところ、すらりと立った美しい字が書けた! わずかな違いですぐに変わるとは驚きだ。
漢字のルールも実に簡単。右ハライが苦手だったが、「しんにょう」など低い位置からの右ハライは横に伸ばしたあと最後をやや右上に向かってはらう。「来」など高い位置からの右ハライは、最後を真横にスッとはらえばいいという。おぉ!あっという間にバランスの取れたかっこいい字になった!
デジタル時代だからこそ、たまに見せる美文字がビジネスの武器になるかもしれない。
〈浩〉
(ダイヤモンド社 1430円)