「わたしは、ダニエル・ブレイク」は明日の日本の姿だ
映画は心臓病によるドクターストップで失業した59歳の大工が、国からの手当金を求め訪れた役所で、嫌がらせのごとき複雑な手続きと懲罰的なシステムで門前払いにあうシーンから始まる。何度訪問しても支給を認めようとしない職員を前に、彼は徐々に追い詰められてゆく。
英国では、頭蓋骨の一部を失い半身まひとなった男性を「就労可能」と裁定するなど、改悪された福祉制度が問題となっている。生活保護基準切り下げなど、福祉切り捨てと緊縮財政で英国と方針を同じくしてきた安倍政権下の日本人にとっても他人事ではない。
「ケン・ローチ自身、右派が台頭する世界中で同じ問題が起きていることを認識しており、普遍的な問題提起として本作を作ったと語っています。映画でも、助けを求める人々にみじめな思いをさせ、尊厳と生きる気力を奪うことが最大の問題だと看破している。まさに小田原市のみならず日本中の関係者が肝に銘ずるべきテーマです」(前出の前田氏)
ジャンパー職員も安倍総理も、ケン・ローチ監督の爪の垢を煎じて飲むべし。
■2017年3月18日(土)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開。配給:ロングライド