何を食べてもまずい…こってり好きは用心「味覚障害」の恐怖
「醤油やソースのかけ過ぎをよく指摘される」「淡泊な料理の味がよく分からない」「作った料理の味付けが濃いと家族からよく指摘される」――。
この中に該当する項目があるなら、味を正常に感じられない「味覚障害」かもしれない。近年、患者数が増加しているという。
東京歯科大学千葉病院で味覚異常外来を受け持つ井上孝教授(千葉病院院長)に話を聞いた。
「味覚異常外来を開いて7年になりますが、開院当初の患者数は年間十数人程度でした。現在は年間約300人。遠方からいらっしゃる患者さんも少なくありません」
患者の訴えは、冒頭に加え、「特定の味が分からない」「口の中がいつも苦い/甘い」「甘い(苦い)料理を食べているのに苦い(甘い)と感じる/酸っぱい(塩辛い)料理を食べているのに塩辛い(酸っぱい)と感じる」「何を食べてもまずい」などがある。
なぜ、味覚障害が起こるのか? 多いのは、亜鉛の不足だ。
「舌の縁や奥にある味蕾(みらい)の中に、味細胞があり、味の情報を末梢神経を通して脳へ伝えます。ところが、亜鉛が不足すると、味細胞の新陳代謝が悪くなり、味の情報を脳へ伝える機能が低下。結果、味覚障害が起こるのです」