「陰部神経痛」を知らずに痔の手術を受けてはいけない
「陰部神経痛がなぜ起きるのかは、わかっていません。恐らくは陰部神経が通過する骨盤の溝を覆う内閉鎖筋が何らかの原因で神経を圧迫しているのでしょう。ところが、肛門の痛みなので、Aさんの主治医のように痔の手術を行おうとする医師がいるのです。しかし、痔の痛みではないので、当然手術では治りません。痔との違いは直腸診を行い陰部神経を圧迫したときに圧痛点があれば陰部神経痛の可能性が高いのです。肛門の左後方に痛みの“最強点”がある場合が多いです」(後藤医師)
従来の治療法は痛みのある場所へのマッサージや抗うつ薬の投与、神経ブロック注射などだが、その効果は一時的だった。
後藤医師の治療法は5センチほどのステンレス製の電気鍼を仙骨孔や肛門の周りのツボに刺し、21ボルト、150マイクロアンペアの直流電気を5秒間流すというもの。
「時には漢方薬を併用することもあります。私はこれまで300人以上の陰部神経痛の患者さんにこの治療法を行ってきましたが、週に1回、都合5回で、治療前の痛みを10とすると3~5程度に痛みが軽減したという人が8割ほどです」