多発する健康被害 マッサージは安易に受けてはいけない
「とりわけ、瞬間的に大きな力を加える動作をするような施術は避けてください」(阿部氏)
マッサージの中でも、とくに注意したいのが「首」だ。
「東京脳神経センター」(東京・港区)理事長の松井孝嘉氏は言う。
「首には、呼吸、消化、脈拍、体温調節など、体全体の調子を整える働きをしている自律神経が通っています。首の筋肉は、脚、腕、腹などの大きな筋肉と違ってデリケートなので、むやみにマッサージをしたり、圧力をかけると筋肉を損傷してしまいます。首の筋肉に異常が起こると、自律神経の副交感神経がうまく働かなくなり、めまい、不眠、食欲不振、血圧上昇、動悸、倦怠感といった不定愁訴が表れます。さまざまな診療科の領域にわたる症状なので、病院をはしごしても治せません」
不定愁訴が出現し重症になると、自律神経性のうつを発症したり、最悪の場合、自殺に至るケースもあるという。
「マッサージを受けるとき、首の周辺は必ず断ったほうがいい。自分で揉むことも避け、マッサージ器も首に当ててはいけません」(松井氏)
首=頚椎を急激に回転させる施術は、厚労省が禁止を通達している。頚椎を圧迫するだけで、手足が動かなくなったり、呼吸器が麻痺して死亡する危険もある。マッサージは、慎重に受けるべきものなのだ。