心臓疾患は“答え”がほぼ解明されている
また、心臓は「無菌」の場所にある臓器で、人工物を効果的に使えるという点も、治療によって改善できる余地が大きいといえます。心臓を構成している弁や血管などの劣化によって働きが低下している場合、弁や血管を人工の物に取り換えれば、機能を取り戻すことができるのです。
これが、たとえば胃や腸といった消化器となると、そうはいきません。「食べ物が通る場所」には必ず細菌が存在します。そうした臓器には、体に害を与えないように細菌を排除するシステムがあり、人工物は“異物”と判断されて受け付けないのです。また、細菌が存在する場所にある臓器は、人工物が人体に取り込まれる過程において感染が起こりやすくなるので、人工物を使うには大きなリスクがあります。そうした点から考えても、心臓は「恵まれた臓器」といっていいでしょう。