注射の痛みを和らげるパッチ登場 “チクリ”我慢には弊害が
「小児にとって注射の痛みは身体的な痛み体験だけではなく、恐怖体験にもなります。記憶として定着し、その後の医療行為全般に対しても拒否的な行動を取るようになることが多々あります」
■小児にとって恐怖体験になることも
カナダでは、包茎がある新生児に環状切開術が行われる。この時、麻酔を受けなかった子供と、外用局所麻酔剤を使った子供を、4カ月後のワクチン注射の時の痛みの反応を比べたところ、無麻酔の子供は泣き方、頭や手足のバタバタなどが明らかに過剰だった。
一方、包茎手術で外用局所麻酔剤を使っていた子供は、ワクチン注射時には大泣きや手足のバタバタがあまりなかった。
さらに、小児の時の繰り返す痛み体験は、思春期、成人期、老年期の慢性痛に進展しやすいことも分かってきた。例えば、小学生の時の腹痛体験がある子供は、その後の頭痛の有病率が5倍という報告もある。
「強い痛みや恐怖は中枢神経へ伝達されます。すると脳脊髄が痛み信号を感じやすくなる。痛みの刺激がなくなっても興奮が続き、中枢性感作という、神経の機能変化が生じ、痛みを感じやすくなります」