脳や心臓にも負担が…秋の「寒暖差」が招く体調不良
気温の急激な変化による疲れを「寒暖差疲労」という。体の冷え、めまい、肩こり、顔のほてりなどさまざまな不調の原因になることがある。前日との気温差が5度を超えると「寒暖差疲労」の症状が表れやすく、「暑いときは何でもなかったが肌寒さを感じてから疲れが出て、ひどいとなかなか起き上がれない」と訴える人もいるという。
人は体内や細胞内の酵素反応を適切に行うために、体温を36度前後に保っている。体温調節機能の中枢は間脳視床下部にあり、感覚神経からの情報や間脳視床下部に流れ込んだ血液の温度を感知して、適切な温度を保つよう、体の各部に温度調節の指令を送っている。
「暑いときは副交感神経が皮膚の血管を開いて体の熱を逃がし、気温が下がって寒さを感じると交感神経の働きにより皮膚や血管、立毛筋を収縮して外部環境に接する面積を減らし、体温を奪われにくくします。さらに筋肉の震えや血糖量を上昇させるホルモンやチロキシンの働きで細胞の呼吸や代謝が活性化され、発熱が促進されるのです」
実際には5度の気温差に風や湿度が加わるために体内でのこうした活動はさらに激しさを増す。体の機能だけでは気温差に対応できなくなると、温かい飲み物を取るなどして徐々に体を寒さに慣らしていく。しかし、慣れないうちに気温差5度以上の変化が頻発すると健康な人でも一時的に体調を崩すという。