咳や痰が続きつらいなら疑うべき…「気管支拡張症」とは?
ところが最近の研究で、気管支拡張症は増えており、その約50%はこれといった病気がなくても発症する特発性(原因不明)で、風邪の後だけ症状が出るといった“軽症の気管支拡張症”も多いと分かってきた。
そして、最初は軽症であっても、一部の人は繰り返しているうちにゆっくりと進行し、階段などで息切れをきたすようになることもある。関節リウマチ、潰瘍性大腸炎などの全身性炎症性疾患との関連が強いことも明らかになってきた。
この流れを受けて、昨年9月には初の国際治療ガイドラインが発表された。欧米ではメカニズムや治療法などが盛んに議論され、欧州、米国、オーストラリアで大規模な患者調査がスタートしている。
■見逃されているケースが珍しくない
「ところが、日本ではガイドラインがなく、大半の医師の間で重要視されていません。症状だけから風邪やCOPDなど別の病気と診断されている可能性もあります」
徳田医師の元には、間質性肺炎や重症の気管支拡張症などの難病で苦しむ患者が全国からやって来るが、長引く咳の患者も診ることが多い。そのうち、50代以上で「この数年、風邪のたびに咳と痰が長引き苦しんでいる」と訴える患者については、HRCT(高分解能CT)を行うと、だいたい2人に1人くらいの割合で気管支拡張症が見つかるという。