著者のコラム一覧
名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

介護が必要な虚弱老人が降圧剤を飲むなら注意が必要

公開日: 更新日:

 高齢者の多くが血圧の薬を飲んでいますが、介護を必要とするような高齢者は注意が必要です。

 健康な高齢者であれば80歳以上であっても、降圧薬を飲むことによって脳卒中や心不全を先送りできることがランダム化比較試験と、そのメタ分析で示されています。しかし、これは介護が必要となる虚弱老人では事情が異なります。

 虚弱老人を対象にした研究はここ数年の間に発表されるようになったばかりですが、その結果は、降圧薬の危険や低血圧の危険を示すものが大部分です。

 2015年には介護施設に入所中の高齢者で上の血圧が130㎜Hg未満で、かつ降圧薬を2つ以上飲んでいる人が2・13倍死亡リスクが高いことを報告し、さらに2018年に報告された最新の研究でも、18・4%の施設入所者を含み、47・2%が心血管疾患の既往を持ち、63・5%に握力低下が認められる85歳以上の高齢者を対象にして、収縮期血圧が10㎜Hg下がるごとに死亡のリスクが1・29倍になり、認知機能低下も血圧が低いグループで早いという結果が示されています。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  2. 2

    「高額療養費」負担引き上げ、患者の“治療諦め”で医療費2270億円削減…厚労省のトンデモ試算にSNS大炎上

  3. 3

    萩原健一(6)美人で細身、しかもボイン…いしだあゆみにはショーケンが好む必須条件が揃っていた

  4. 4

    おすぎの次はマツコ? 視聴者からは以前から指摘も…「膝に座らされて」フジ元アナ長谷川豊氏の恨み節

  5. 5

    “年収2億円以下”マツコ・デラックスが大女優の事務所に電撃移籍? 事務所社長の“使い込み疑惑”にショック

  1. 6

    歪んだ「NHK愛」を育んだ生い立ち…天下のNHKに就職→自慢のキャリア強制終了で逆恨み

  2. 7

    僕に激昂した闘将・星野監督はトレーナー室のドアを蹴破らんばかりの勢いで入ってきて…

  3. 8

    日本にむしろ逆風…卓球王国中国で相次ぐトップ選手の世界ランキング離脱と進む世代交代

  4. 9

    「(来季の去就は)マコト以外は全員白紙や!」星野監督が全員の前で放った言葉を意気に感じた

  5. 10

    迷走するワークマン…プロ向けに回帰も業界では地位低下、業績回復には厳しい道のり