事故を防ぐため改めて手術チームの労働環境を見直す必要が
たとえば、国公立大学の付属病院では、時間外の手術になると看護師が帰宅してしまう場合が少なくありません。「本日の勤務時間は終わりましたので、後はよろしくお願いします」といった感じで医師だけを残して帰ってしまうのです。
手術はチームプレーですから、看護師が不在となると手術現場の“流通”が悪くなります。外科医にメスや鉗子を手渡す器械出し、手術に使用する医療機器の準備や設置、操作など、普段は看護師が担当している作業を不慣れな医師が行わなければなりません。当然、器械の置き忘れなどのトラブルが発生しやすくなるのです。
■周囲がストップをかけられるかどうかも重要
私がいまの順天堂医院に来た時もそれに近い状況にありましたが、「それだけは絶対にやめてほしい」と強く要望して、必ず看護師を残してもらう体制を整えてもらいました。「餅は餅屋」といいますが、それぞれが責任を持って、自分の持ち場を徹底して守ることが医療安全の観点からもより良い結果につながることははっきり分かっています。しかし、そんな単純なことでも徹底できていない施設が残念ながらまだあるのです。