「軟らかいものばかり」は誤解 歯並び悪い子供が増えた訳
■日本人の歯は豪州先住民並み
愛知学院大学歯学部元講師で「山田歯科クリニック」(愛知県名古屋市)の山田博之院長(歯学博士)が言う。
「実際に日本人の歯のデータを見ると、戦前と戦後では大きさがかなり違っています。上下顎中切歯から第2大臼歯までの歯の大きさ(14項目)の平均値を合計した値(TATS値)で戦前と戦後の名古屋地区住民を比較したところ、戦前(1924~1926年生まれ)は114ミリであったのが戦後(1964~1966年生まれ)は118ミリ。これは豪州の先住民・アボリジニに匹敵する大きさです」
歯は顎の中で発育するため環境の影響を受けにくい。そのため長らく歯の大きさは変わらないと思われていたが、違っていたというわけだ。
「一方で、矯正歯科患者だけでなくその母親の歯を調べた研究では、他の母親に比べて歯が大きかったことが確認されています。つまり、歯の大きさは遺伝の影響はあるものの食べ物による変化の方が大きく、叢生に関係している可能性があります」(山田院長)