兼元謙任さんが振り返る ギラン・バレー症候群の壮絶治療
イジメがエスカレートしていく中で怒りから諦めになり、免疫力がどんどん落ちていきました。もともと未熟児で生まれたため、体が弱く、熱が出やすかった上、あちこちおかしくなってきて、中学に入学する頃には体が動かなくなってしまいました。
病院を受診すると、担当の女性医師から「ギラン・バレーかもしれない」と言われ、入院することになりました。ギラン・バレー症候群は末梢神経に障害が起こる自己免疫疾患で、重症化すると呼吸が止まることもある難病です。
その女性医師は腰椎穿刺という検査を何度もしました。背中から針を刺して脳脊髄を採取するので、ものすごく痛いんです。当時は筋電図もなかったので、腕に針を刺された状態で「動かせ」と言われたりもしました。それで電流を測るっていうんだから、もう拷問ですよね。当然すごく痛いので怒りが募りました。
そのうちに筋力がなくなって車椅子になりました。頭もタランと垂れてしまうので、首をベルトで吊られていたくらいひどい状態でした。
それで、ついにステロイドの集中投与が始まりました。医師から「新しい薬」と言われ、10円玉大の薬を一日に17錠も飲まされるんです。肝不全や顔が丸くなるムーンフェースなど、いろいろな副作用が出るのでつらいのですが、「これ以上、病状が悪くなるよりはいいでしょう」と言わんばかりに治療は続きました。食べれば吐くし、ガリガリなのに顔だけが丸い……。その頃のことは「つらかった」ということしか覚えていません。薬は飲みたくないけれど、死にかけるとまた飲むという感じでした。