「日本うんこ学会会長」石井洋介さん 潰瘍性大腸炎を語る
しかし、あるときインターネットで「人工肛門閉鎖手術」というものを知り、それをやっている病院が全国に2カ所だけあることを発見しました。そのひとつが横浜市立市民病院でした。
自宅から比較的近かったので、さっそく受診してみると、「3カ月後に手術しましょう」と、あっさり決まりました。回腸嚢肛門管吻合術という、小腸を少しひっくり返して便がたまる袋を作り、肛門とつなげる手術をしたのです。もう、便意もあれば我慢もできる普通の人と変わらない生活です。
それまで抱えていた不安が消え、「先生みたいになりたい」という目標ができて猛勉強した結果、今があります。
患者と医師の両方を経験した身として言えるのは、「生物学的な正解が患者の幸せに必ずしも直結するわけではない」ということ。疾患にとらわれ過ぎて、人生が台無しになっては良くありません。病気と幸せのトータルで「いい点数の治療」を患者さんと一緒に考えられる医師になれたらいいなと思っています。 (聞き手=松永詠美子)