「サリバチェッカー」が唾液中のがん特有の物質8種を検出
唾液からがんの診断ができるのは、がんによって細胞が増殖する時に体の中でDNAの複製に関係する物質が増え、その影響が唾液中にも出るからだという。
サリバチェッカーでは唾液中の8種類の物質を測定しているが、今は8種の物質を標準化し、唾液が濃い人でも薄い人でも診断に差が出ないように精度を高めている真っ最中だ。
「この検査の優れた点は、唾液を採るだけなので、職場や自宅など、どこでも実施できるところです。今は約70の医療機関で検査を受け付けていて、検査費用は2万円から4万円の間が中心です」
早期発見が難しいとされている膵臓がんも、ステージ1からでも反応するという。物質の組み合わせによって、消化器系のがんか乳腺かなどある程度の判別も行う。今は検査結果を読み取る人工知能も改良中だ。
「従来広く行われてきたバリウム検査は、実は偽陽性や偽陰性、つまり当たらないことが多い上に体にも悪く、放射能被曝まであり、デメリットが多い。それに対し、サリバチェッカーは低侵襲、つまり体に害がないので、手軽に受けられます。胃がんの研究にも取り組んでいます。ご夫婦で誘い合わせて一緒に受けにくる方が多いのも、この検査の特徴ですね」
将来的には、卵巣がんと子宮がんの判別も目指している。
(フリージャーナリスト・里中高志)