専門誌で最新報告が 食道がんリスクと飲食物の温度の関係
食道がんは初期には症状がないため診断されることが少なく、進行すると治療をしても、食事がのみ込みづらくなるなどの後遺症が残ることの多い、厄介ながんのひとつです。
日本人に多い扁平上皮がんというタイプの食道がんは、喫煙とアルコール濃度の高いお酒を飲むことで、なりやすいということが分かっています。
それから、時々指摘されることがあるのが、熱い飲み物や食べ物との関係です。熱い物が食道の粘膜を刺激することで、がんになりやすくなる、というのです。
ただ、この点については、これまでにそれほどしっかりとした研究データがありませんでした。
今年のがんの専門誌に、それについての新しい知見が発表されています。
イランで5万人を超える大規模な調査を行ったところ、温度が60度以上の熱いお茶を飲む人は、ぬるいお茶を飲む人と比較して、食道がん(扁平上皮がん)のリスクが41%増加していました。温度にかかわらず、ぬるいお茶が好きな人と比較して、うんと熱いお茶が好きな人は、2・4倍以上もがんのリスクが高くなっていました。
また、ゆっくりと時間をかけて飲む人と比較して、1杯を2分かけずに急いで飲む人は、これも食道がんのリスクが51%増加していました。
熱い飲み物は冷ましてからゆっくり飲むことが、食道がんの予防には重要なことであるようです。