「尿酸値」が正常な人はポリフェノールの恩恵が少ない?
人体はポリフェノールを合成できません。そのため植物やその加工品から摂取するしかありません。しかし、野菜嫌い・果物嫌いでも健康な人は大勢います。それに必須ビタミンや必須ミネラルはあっても、「必須ポリフェノール」なんて聞いたことがありません。それでも健康でいられるのは、人間に「尿酸」が備わっているからかもしれないのです。
尿酸は言うまでもなく痛風の原因です。しかし、ビタミンCなどをもしのぐ、最強レベルの抗酸化作用があることが昔からよく知られていました。しかも意外なことに、人体は尿酸をわざと捨てずにため込んでいるのです。
尿酸は新陳代謝によって生じる老廃物で、尿に混ぜて捨てられるはずなのですが、なんと9割が腎臓で回収され、血液中に戻されているのです。わざわざ尿酸値が下がるのを防いでいるのですから、血液中の活性酸素を無害化するためと考えるのが自然でしょう。
一方、他の哺乳類の多くは、尿酸を他の物質に変えて、そのまま尿と一緒に捨ててしまっています。犬や猫が痛風にかかったなんて話は、聞いたことがありません。人間(と霊長類)だけが尿酸をため込んでいます。しかも他の動物よりも寿命が長めです。そのため、「人間がこれほど長生きなのは実は尿酸に秘密があるんじゃないか」という研究者もいるほどです。とはいえ、尿酸値が高ければいいというわけではありません。数値が高い人ほど見た目が若々しくて、がんにかかりにくいかというと、そんなことはないのです。おそらく正常範囲(男女とも血液100㏄当たり3・0~7・0ミリグラム)で十分過ぎるくらい抗酸化効果があるのでしょう。