「サバ缶」とアンチエイジングに科学的な根拠はあるのか
細胞膜の酸化は全身で起こります。「最近、体の動きが鈍くなった」と感じたときには、神経細胞だけでなく、筋肉や内臓の細胞でも酸化による劣化が始まっているかもしれません。
ところで去年、全国でサバ缶がバカ売れするという社会現象が起きました。サバに豊富に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)が血中コレステロールや中性脂肪を減らし、血栓を予防してくれるというのです。
それらをまとめて「オメガ3脂肪酸」と呼びます。実際にカプセルになって高脂血症の治療薬として使われています。もちろん健康保険適用になっています。注意書きには「(胃潰瘍などで)出血の危険性の高い患者への使用は慎重に」と書かれているほどです。
しかし、それだけでなくオメガ3脂肪酸の摂取は、細胞の老化防止にも役立つといわれています。
なぜなら、細胞膜の主材料のひとつだからです。しかも、オメガ3脂肪酸は一度酸化されてしまうと、もう元には戻りません。外から補給して交換するしかないのです。また、特に脳や神経の細胞膜には、オメガ3脂肪酸が多く使われています。サバ缶を食べると脳細胞が若返って記憶力がよくなるとか、認知症が改善されるとかいわれているのはそのためです。とはいえ、実際にサバ缶を食べたらこうした成果が得られたと科学的に確かめられたわけではありません。あくまでも仮説ないしウワサの域にとどまっています。