造血幹細胞の大量培養は白血病治療をどこまで進化させるか

公開日: 更新日:

 造血幹細胞は、ドナーの骨髄に針を刺して注射器で取り出したり、左右の腕を分離装置につないで末梢血を循環させて採取する。しかし、ドナーの白血球の型が患者の白血球の型にマッチしていなければならないうえ、高齢化によってドナーが減少していることもあり、ドナーが登録されている「骨髄バンク」を補完する技術の開発が課題になっていた。

 患者に移植する造血幹細胞(CD34陽性細胞)は、骨髄移植では患者の体重1キロ当たり少なくとも10の6乗個、末梢血幹細胞では10の6乗を2倍した個数が必要だといわれている。しかし、ドナーの体格や状態によっては十分な量に満たないこともありうる。

 現時点ではマウスでの実験段階だが、造血幹細胞を大量に培養できる技術が進んでヒトでの移植にも使えることが確認されれば、採取する幹細胞は少ない量で済み、ドナーの負担が大幅に軽減される。

■大量の抗がん剤を投与しなくて済む可能性も

「今回のマウスの造血幹細胞を用いた実験では、PVAを使うと数カ月にわたって造血幹細胞が未分化な状態のまま増幅培養させることができ、1個の造血幹細胞から複数の個体への移植が可能であることもわかりました。これがヒトに応用できるようになれば、これまでのようにドナーの骨髄から必要な量の造血幹細胞を採取しなくてもわずかな採血で十分な量を培養できるので、それだけ多くの患者を救えるようになるでしょう」(佐々木氏)

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    相撲協会の逆鱗に触れた白鵬のメディア工作…イジメ黙認と隠蔽、変わらぬ傲慢ぶりの波紋と今後

  2. 2

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    《2025年に日本を出ます》…團十郎&占い師「突然ですが占ってもいいですか?」で"意味深トーク"の後味の悪さ

  5. 5

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  1. 6

    中居正広の女性トラブルで元女優・若林志穂さん怒り再燃!大物ミュージシャン「N」に向けられる《私は一歩も引きません》宣言

  2. 7

    結局《何をやってもキムタク》が功を奏した? 中居正広の騒動で最後に笑いそうな木村拓哉と工藤静香

  3. 8

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 9

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 10

    高校サッカーV前橋育英からJ入りゼロのなぜ? 英プレミアの三笘薫が優良モデルケース