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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

円楽は3週間入院 肺がんの脳転移は治療の順番が延命を左右

公開日: 更新日:

 脳転移が見つかると、「近い将来、話せなくなるのか」「ひょっとして動けなくなる……」という患者さんの不安を耳にします。脳は人体の司令塔ですから、無理もありません。

 しかし、分子標的薬や放射線治療の飛躍的な進歩で、認知機能を守りながら、転移性脳腫瘍を治療することが可能になっています。治療後、仕事に復帰することは十分可能です。

■定位放射線なら認知機能に影響なし

 そこで、カギを握るのが、肺がんのタイプを見極めること。日本人は、EGFRという遺伝子に変異がある人が53%に上ります。海外の17%の3倍超です。EGFRが変異していると、脳転移が多発する半面、治療効果は高いのです。

 そのベストな治療の組み合わせが、転移した部位にピンポイントで照射する定位放射線と分子標的薬になります。分子標的薬は、EGFRが変異しているタイプに効果を発揮するEGFR阻害剤です。4種類が保険適用になっています。

 従来の脳転移の治療は、放射線の全脳照射が主流。余命はせいぜい半年でしたが、画期的な治療法の登場で、5年を超えることも珍しくありません。だからこそ、ピンポイント照射で、認知機能を守ることが大切なのです。

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