膵がん早期発見のカギを握る画像検査 CTとMRIの違いと特性
CT検査は造影剤を使用することでその効果を発揮します。鮮明な画像が得られ、がんの広がりや血流も把握しやすくなります。近年は1回の照射でさまざまな角度からの断面図が得られるマルチスライスCTが登場し、画像ソフトにより3D画像も得られるようになりました。短時間で繰り返し撮影して血流の変化やがんの浸潤の様子も観察できるダイナミックCTという撮影法も使われるようになり、精密度が増した最新CTでは造影剤なしでも膵がんの状況や血流の動きを観察できるようになっています。
MRIは強い磁力と電波を体にぶつけて、体内の水素原子を揺さぶりそれを画像にする装置です。被曝はしません。粘膜の動きもわかるのでがん検査としては適しています。しかし、検査時間が長く、妊娠している人などは検査できません。心臓などにステントが入っている人など検査できない場合があります。
ただMRIはCTとは異なり、造影剤を使わなくてもそのコントラスト分解能の高さから、内臓や粘膜、血流の情報が得られるメリットがあります。
膵がんの多くは膵管に発生するため、膵液や胆汁という液体成分を抽出して調べるMRCP(磁気共鳴胆管膵管造影)も有用です。MRIで得られた画像情報をコンピューターで3次元構築するもので、膵がんの前駆病変であるIPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)やMCN(粘液性嚢胞腫瘍)が発見できます。