余命を一度も口にしたことがない担当医に感謝する患者の思い
Tさんは分子標的治療薬の内服を3カ月行いましたが、効果は認められませんでした。何か他の治療法がないか。M医師はセカンドオピニオンを求め、某がんセンターを紹介してくれました。
■状況が厳しいことは自分でもよく分かっている
Tさんはすぐに出向きました。すると、診療情報提供書を読んだがんセンターの医師は、難しい顔をしながらいきなりこう告げたそうです。
「これなら、あと6カ月の命と思ってください」 こちらから余命なんて聞いていないのに、そんな回答でした。
Tさんは何か新しい治療法でもないものかと期待して行ったのですが、「今は該当する新薬はない」とのこと。新薬ではなくても他の治療法について聞いても、打開策についての提案は何もありませんでした。
A病院に戻って結果を話すと、M医師は「以前の文献で、内服薬で効果があったという報告があります。本当にあなたのがんに効くか分かりませんが、試してみましょうか?」と言ってくれました。暗かった気持ちが急に明るくなった気がしました。Tさんは「自分を担当してくれているのがM医師でよかった。某がんセンターのあの医師でなくてよかった」と強く思ったそうです。