著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

血糖に無関係と思いがちだが…「アミノ酸」で糖尿病になる

公開日: 更新日:

 アミノ酸というのはタンパク質の材料です。その中でも必須アミノ酸と呼ばれるものは、体で作ることができないので、食事などから補充する必要があります。「アミノ酸を取って運動をすると、運動の効率が上がって、筋肉も増えて疲れにくくなる」という話があり、サプリメントとして使う人も多いようです。

 必須アミノ酸の中でも分岐鎖アミノ酸と呼ばれる3種類のアミノ酸は、そうした筋肉増強作用の強いアミノ酸として知られています。

 それでは、アミノ酸を多く取ることで血糖にはどのような影響があるのでしょうか?

 アミノ酸は糖ではありませんから、血糖値には影響しないように普通は考えます。筋肉の活動が活発になることは、糖の代謝にも良い影響を与えそうです。こうしたことから、アミノ酸が多くあった方が、糖尿病にもなりにくいのではないか、と考えられます。

 ところが、2009年の生物学の専門誌に、びっくりするような研究結果が発表されました。「肥満の人では血液中の必須アミノ酸の濃度が高く、分岐鎖アミノ酸を多く与えられたネズミは、血糖値が上昇して糖尿病になってしまった」というのです。

 その後の多くの研究でも、必須アミノ酸の血液濃度が高いと、それだけ血糖が高くなり、高血圧動脈硬化の病気も増える、という結果は変わりがありません。

 アミノ酸の取り過ぎにも、注意が必要であるのかも知れません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸30億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」