若い世代に増加中の「梅毒」は心臓にも深刻な状態を招く
近年では、エイズの原因であるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染している患者さんは事前に医療者に申告してくれるのですが、梅毒は本人が感染に気付いていないケースもあるため、なおさら注意が必要なのです。
■あらためて「性病教育」の徹底が望まれる
手術を予定している患者さんが梅毒に感染していた場合、早急に梅毒トレポネーマを駆逐しなければなりません。まずは感染症の専門科に相談して外来で治療を受けてもらい、完治してからあらためて手術を行います。いまから20年以上前になりますが、梅毒に感染していた患者さんの手術を同じ手順で実施した経験があります。
もっとも、いま何よりも重要なのは、梅毒の感染者を再び減らしていくことです。一時は激減していたものが急増してしまったのは、根絶の一歩手前まできて医療関係者が集中力を切らしてしまったからでしょう。
いまの梅毒は、男性だけでなく、20代を中心とする若い女性にも急増しています。これは、若い世代に対して梅毒の知識や情報を教育する機会が減ってしまったことが大きな原因といえるでしょう。国や公的機関は若い世代に対して梅毒も含めた「性病教育」をあらためて徹底して行い、性風俗の乱れを正していく必要があると考えます。