岸あさこさん 世界でもまれな乳がんで「終わった」と思った
2018年1月から手術と抗がん剤と放射線の治療が始まりました。抗がん剤の副作用は想像以上でした。脱毛はもちろんのこと、下痢は尋常ではなく、口の中がひどく荒れて強烈に染みる……サンドイッチのほんの香り付けのようなマスタードで悲鳴を上げてしまいました。むくみもひどくて、一番つらかった時期は歩いても50メートルごとに休憩が必要でした。「こんなにつらくて生きていく必要があるのか?」と思ってしまったほどです。
治療のつらさに加えて、これからどう生きていけばいいのかまったくわからない心細さがありました。医師は「抗がん剤治療しながら仕事している人もいますから大丈夫ですよ」とサラッと言うのですが、到底納得できません。私が欲しかったのは「希望」であり「情報」でした。どんなに小さくてもいいから希望になる何かが欲しかった。
■料理教室の先生の笑顔が「希望」に見えた
そんなときに出会ったのが、とある料理教室の先生でした。知人が教えてくれた料理教室で、聞けば先生も乳がんで乳房を全摘出して抗がん剤治療を行い、その時はホルモン治療中という状態でした。つらいはずなのに、その先生はとても元気で明るくて、笑顔が太陽のようでした。まさに「希望」に見えました。