肺がんで亡くなった祖母の手にはめられた白い手袋には紐がつながれていた
それを受けたFさんは「それでは他の病院に移してください」とお願いして、Kさんは数日後C病院に転院しました。そしていまはC病院で点滴を受けています。
ある夜、Kさんは自分がどこに居るのかが分からなくなったようで、ベッドから降りようとして腕から点滴の針が抜け、シーツが血だらけになったそうです。するとその夜、点滴を外さないようにとKさんは白い手袋をはめられました。その手袋の先には白い紐がつながっていて、ベッド柵に縛ってあります。腕はある程度動かせるのですが、制限されています。
翌日の夜、Fさんが病室を訪ねた時、Kさんが言いました。
「顔がかゆい。顔に虫がとまっている。顔がかゆい」
しかし、手袋をしているKさんの手は顔まで届きません。
Fさんはナースステーションまで出向き、「手袋は外せないでしょうか?」とたずねると、「おうちの方がいらっしゃる間は外せます。ただ、夜は看護と介護の職員が少なくてずっとは見守れないので、はめさせていただきました」と言われました。