肺がんで亡くなった祖母の手にはめられた白い手袋には紐がつながれていた
さらに数日が過ぎて、Fさんは息子を連れてKさんを訪ねました。その日は手袋をはめていませんでした。しかし、Fさんと息子がいくら呼んでも返事はありません。2日後、Kさんは亡くなりました。
しばらくしてFさんがKさんの部屋の整理をしていると、たんすの一番上の引き出しに手紙が入っていました。
「Fちゃん、ありがとう。お世話になりました。本当にありがとう」
手紙の日付は、苦しくなって救急病院に入院した、その日でした。
Fさんは、Kさんがはめていた白い手袋とベッドにつながれた紐が、何年たってもずっと頭から離れません。
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