患者と医療者それぞれ考えているゴールがずれると問題が起こる
「最初にもらった治療計画書とはまったく違うじゃないか!」
「治療にミスがあったんじゃないのか。あんたたちは信用できない」
こうした“クレーム”は担当医だけでなく、看護師にも向けられます。そして場合によっては、訴訟に発展する可能性もあるのです。
「医療安全」に沿ったきめ細やかな対応は、こうしたトラブルを起こさないようにするためのものでもあります。合併症を起こすリスクがあることは事前にきちんと説明し、医療者側にとっては想定内の状況だったとしても、「合併症が起こる可能性があることは、最初に話したじゃないですか」で済ませようとすれば、問題がさらにこじれてしまいます。
患者さんは常にさまざまな不安を抱えていることを念頭に置き、その都度その都度、局面に応じて、角度を変えた説明を行うことが重要です。たとえば、治療期間が当初より延びていることについて、なぜ延びているのか、どのような処置が行われているのか、どのくらいかかりそうなのか、といった部分にフォーカスして、じっくり説明を繰り返すのです。