注射で「アトピー性皮膚炎」を治療する時代がやって来た
そこで2008年に登場したのが、免疫抑制薬「シクロスポリン」の内服療法だ。アトピー性皮膚炎のかゆみに関係するインターロイキン2などのサイトカイン産生を抑制する。対象は重症患者で、腎臓への負担、血圧上昇などの副作用があり、通常のクリニックでは処方が難しかった。
「18年に登場したのがアトピー性皮膚炎治療薬として初の生物学的製剤です。アトピー性皮膚炎のかゆみ物質だと明らかになったインターロイキン4とインターロイキン13のサイトカインの働きを抑え、アトピー性皮膚炎の皮膚内部のTh2細胞の働きを抑制します」
この生物学的製剤「デュピルマブ」は、2週間ごとの皮下注射で行われる。19年からは在宅自己注射も可能になり、12週間分(6本)を処方してもらえるようになった。
15歳から受けられ、効き目がいい人では注射後2時間程度でかゆみの軽減を実感。遅い人でも1~2週間でかゆみが改善され、人によっては1カ月くらいで注射と保湿剤だけで保てるようになる。
ただし、それまで使用していたステロイド外用薬を急に中止すると副腎抑制などの副作用が起こるリスクがあるので、自己判断で薬をやめないこと。