注射で「アトピー性皮膚炎」を治療する時代がやって来た
冬は肌が乾燥し、アトピー性皮膚炎が悪化しやすい季節だ。治療がうまくいかず長年悩んでいる人の中には、アトピー性皮膚炎の積極的な治療を諦めている人もいるかもしれない。しかし、東京慈恵会医科大学皮膚科の石氏陽三医師は、「新しい治療法が登場している。諦めずに受診し、自分に合った治療を見つけて欲しい」と話す。
「いま、アトピー性皮膚炎の治療のパラダイムシフト(その分野で当然と考えられていた認識が劇的に変化すること)が起こっており、注射で“治る”時代になりつつあります」(石氏医師=以下同)
アトピー性皮膚炎の治療といえば、保湿などのスキンケア、炎症を抑える「ステロイド」や「タクロリムス」といった外用薬、かゆみを抑えるための抗ヒスタミン剤内服の治療が一般的だ。
しかし、かゆみの経路には2通りある。
1つはヒスタミンの経路、もう1つはヒスタミン以外の経路で、アトピー性皮膚炎の慢性的なかゆみは、ヒスタミン“以外”の経路が大きく関係している。
つまり、ヒスタミンの経路にアプローチする抗ヒスタミン剤では、アトピー性皮膚炎のかゆみを十分に抑えることは難しかった。