MCSでうつ病患者の在宅医療を細やかにサポートできるように
電話やFAXとは違い、写真を上げられるので、たとえば患者さんの傷の状態などをカラー画像で瞬時に確認できるのもポイント。医薬品や必要な物品が足りない場合の連絡ツールとしても使えます。またこれを使って、医師とご家族が直接会話することもできます。
そんな新しいコミュニケーションツールを駆使できる今だからこそ、より在宅医療が可能になった精神疾患の患者さんのケースを紹介します。
一人暮らしの60代後半の女性で、心臓の左右の心室を隔てる壁に穴が開いている心室中隔欠損症と、うつ病を患っています。月に1度はうつ病治療のため精神科の病院へ通院。生活保護を受給しながら要介護2の認定を受けています。
初めて自宅を伺った時、ご本人は自宅にいらっしゃるもののドアを開けてもらえず、結局その日は診療できず断念。それから2日後に患者さんと顔見知りのケアマネジャーと共に再訪しました。部屋の中に入ると紫煙が立ち込めています。聞けば、たばこを1日半箱程度吸うとのこと。
この女性に対しての在宅チームは、まず全身の状態を確認するため、週2回の訪問看護。ヘルパーは週3回通い、家事の代行や服薬確認、通院同行などを担いました。また、厚労省の「日常生活自立支援事業」を利用し、金銭管理支援を週1回。これは、認知症、精神障害、知的障害などで判断能力が不十分な方に対し、通帳、印鑑、権利証などを預かって利用援助を行うものです。ここに私たち診療所も週1回のペースで通い、ケアすることになりました。
そして現在も引き続き、ケアマネジャーや訪問看護ステーションと連携を取りながら定期的に訪問を行っていますが、このように精神疾患の患者さんにとって在宅医療は、最後のセーフティーネットとしての意味合いがより強いといえるのです。